ちょっとひとこと。
最近ブログを書くようになったのでコミックス名で検索する事が増えたのですが、どの作品を検索しても第2検索ワードに「漫画村」と出てくるようになって残念な気持ちになっている今日この頃です。
……百歩譲って、対象年齢が中学生くらいまでの少年誌や少女誌なら分かりますよ。限りあるお小遣いでは思うようにコミックスなんて買えやしないだろうし、コミックスに対価を支払わない事の本当の意味を考える事もしないだろうなって事も。
でも、BLは、対象年齢が大人でしょ? 読者の高齢化って言われてるくらいなのに
何で漫画村なんかに用があるのか!
書き手と読み手の距離が近いBLというジャンル、同人活動したことのある人もきっと多いでしょう。少なからず漫画を描く苦労を知っているのではと思いますが、そういう人でも作品に対価を支払えないとは。恥ずかしい限りです。
どうせパソコンの前でへばりついてるなら電子のセール情報チェックしておこづかいサイト経由してコツコツ買えばいいのに。
どういう作品かだって感想もあふれているし、試し読みだって出来るのに。
そんなにコミックスを買うお金、惜しいんですかね。
好きな作品、作家の本を買うことの何が惜しいんでしょうか?
このままだとそう遠くない将来、同人誌と同様に割高な値段でクラウドファンディングなどで単行本を買わねばいけない時代がくるのでしょうな。
ま、25年くらい前に戻るだけかなって気もしますけど。
やまかみ梨由さんの「KISS」は同人誌で買ったな…。
美杉果林さんの「相対的恋愛構成率」は初めて通販で買ったオリジナルJUNE同人誌だったなー。
せとなさんのJ禁同人誌も後からコミックスになってたっけ。
最近は全くイベントに行かないので詳しくは分かりませんが、今だってきっとイベントでスカウトされて作家さんになる人は多くいるでしょう。
でも商業デビューしても漫画村に搾取されて単行本が売れなければ、職業として続けていくことは難しい。同人誌なら描く大変さはかわらなくとも値段も部数も自分の匙加減ですから、コンスタントに描き続けていけばよっぽど収入になるでしょう。そうなると商業誌に拘る必要がなくなってしまいます。
そして良いBLが埋もれていく事の勿体無さ、今一度よく考えてほしいです。
「バースデー」安西リカ
凄く久々に、読み終わった瞬間から読み返したくなる本でした。
深夜三時に起きて長官を配達し、古いアパートに帰って少し眠り、鉢植えの世話をする。友人も作らずもう六年、百合原はこんな毎日を続けていた。あるとき集金先のマンションで、越してきたばかりの滝本という男と出会う。滝本は百合原の顔を見た途端、言葉をなくすほど驚いていた。実は百合原はかつて事件を起こし、その間の意識がない。そして滝本には十年前に姿を消した忘れられない恋人がいたようなのだが……?
安西さん、「初恋ドローイング」を本誌で読んだ時からずっと好きなのですが、今回はもうすごく、何度も読み返したいお話でした。
BLでは受はとかく様々な不幸に襲われがちで百合原も例外ではありません。何せ両親は失踪したまま生死不明。身寄りもいない。おまけに記憶もあいまい。一つ所に落ち着いて生活が出来ないし、友達と呼べる人間もいない。
滝本は滝本であまり幸福とは言えず、物質的に恵まれていただけマシなんだろうけど、性格がねじ曲がってしまったのも屈折した性癖を抱えたのも納得の窮屈な法曹一族。
そんな二人が細い細い糸を手繰り寄せて新聞配達員と顧客という形で出会う。昔に比べれば新聞を取っている世帯は減っているので多少受け持ちのエリアは広いかもしれないが、朝1~2時間で配れるほどのエリア。そんな狭いところに二人が辿り着くまでの出来事を思うと本当に泣けてきます。
昔、まだ私が学生の頃、「24人のビリーミリガン」という本が長らく平台に置かれていました。あの頃はダニエルキイスが流行っていたっていうのもありますが電車の中吊り広告でも見かけたような記憶があります。
最近では、復帰した森友嵐士氏がT-BOLANの「マリア」について語る番組なんかもありましたし実際壮絶な、物語のように幸せなエンドマークがつく事はあまりないのかもしれません。BLではあまり見かけないテーマですし最後までハラハラしてしまいました。
あまりネタバレしたくないのでふわっとした事しか言えませんが、百合原の過去を思うと辛いけどタイトルが「バースデー」なので希望を持って最後まで読んでほしいです。読後に人生に負けずに生きていこうって思えます。
描き下ろしSSもじんわりと良いお話でした。
幸せって大層なものをゴテゴテ飾り付けなくてもいいんだな、って思わせてくれます。
東尾先生とか、津田さんの娘さんとかとの食事会のお話とか同人誌で読みたいです。
「すこやか溺愛ライフ」平喜多ゆや
最近風邪を引いたりパソコンを買い替えたり扁桃炎になったり法事があったりとせわしなく、久々にコミコミで注文したら1万円を超えてしまい読むのが追いつかない今日この頃です。
そんな中で現代的なテーマのこちらが色々印象に残ったので書きたいと思います。
すこやか溺愛ライフ (バーズコミックス ルチルコレクション)
- 作者: 平喜多ゆや
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2018/02/24
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る
ブラックな会社で限界まで働かされた貴海はついに倒れて入院してしまう!? 彼氏のヨシオに「俺がお前を健康にする!」と宣言され、同居することになるけれど、せっかくの新婚生活スタートだというのに心配性のヨシオは、なかなかHなことをしてくれなくて!?
本当に一話の貴海の死にそうな顔色ったらないです。そっと汐街コナさんの「死ぬくらいなら会社辞めれば←ができない理由」を差し出したくなるくらいの社畜っぷりです。
今まで薄幸な受が不治の病で死んでしまうBLはたくさんありましたが、これからはこういうの少しづつ増えていくかもしれないですね。BLなら、過労死した受の復讐を考える攻→受の元上司に近づくも元上司に徐々に惹かれていき……みたいなの。あ、でもこういうの復讐ものではとっくに定番ですね。
子持ちものに次いで好きな同棲(同居)もので、しかもうさぎまで登場するので最初から両想いカップルのお話ですが楽しかったです。
しかもヨシオの一途具合が、タイトルに偽りなしなんですよ。二話の学生時代の回想シーンなんか初々しくてかわいくって、もっと読みたいくらいでした。淡い恋、いいですね!
貴海もヨシオの「お前を健康にする」という思いに応えて吸いたい煙草を我慢してたりするのが地味に可愛かったです。
カバー下のエピソードもめちゃくちゃ可愛いので是非読んでほしい!貴海の勘違いでヨシオは感謝されることもなくとくに縁がないままの学生時代、だったのかなと思うとホロリときてしまいます。
お題「好きな作家」
自己紹介がてらボーイズラブ漫画家ソートというのをやってみました。少し前のものなので作家さんも中堅以上の方ばかりなのですが、くどくどしく書くよりも分かりやすい結果になったかなと思います。
もし最新のものでやったとしたら上位の方に平喜多ゆやさんとか梶ヶ谷ミチルさんとか吉田実加さんとか柴さんとか麻生ミツ晃さんとか諸々入ってくると思うんですが、一位ユギさんはもう不動と言ってもいいくらい好きなのでこの結果には結構満足しています。
他にこのお題が作成されたころにはデビューしてらっしゃらなかった若手の作家さんだと……谷カオルさん、ムノさん、リオナさん、間宮法子さん、会田フゥさん、村上キャンプさん、古矢渚さん、成瀬一草さん、イクヤスさん、なりた晴ノさん、ツトムさん、など好きですね。書ききれません。
ユギさんは靫さんの頃からずっと好きで、今でも読み返しては「好きだー……!」となっています。本田三兄弟の「開いてる(最後の)ドア~」シリーズが一番好きです。
依田さんもBethさんの頃から好きで、新作を描かれていないので必然的に旧作を読み返す形になってしまうのですが「ブリリアント★blue」「よろめき番長」はよく読みます。
岡田屋さんはいまはもう改名されて崗田屋さんですが、崗田屋さんに限って言えばBL以外の作品の方がよく読んでいますね。BLは両手ばなしにハッピーエンドと言えない作品も多いからかもしれません。
北上さんは……「よそはよそ、ウチはウチ」ってどうなっているんでしょう?コミックス派なので非常に気になるところで終わったままなんですが。挿絵のお仕事もされているし、丁寧な描き込みの絵柄なのであまり量産されない方とは存じていますがずっと続きが気になっております。
まさおさんはシュールなボケツッコミ漫才みたいなズレたやりとりが好きで、毎回「こう来たか!」と思いながら楽しんでいます。キャラが普通体型なところも好きです。
以下なんだかんだで50位くらいまでに登場している作家さんはほぼ作家買いと言ってもいい感じでしょうか。
この間軽い気持ちで蔵書数をざっと調べてみたら電子と紙を合わせると(小説も含む)2600冊くらいはあるっぽいなーという感じでしたし、まぁ固定で買っている作家さんも結構多いって事ですよね。
これでも収納スペースの関係で定期的に読み返していない本を手放していますのでなんとかこんなものですが延べ数でいうと恐ろしい数になりそうです。
猫にまつわるボーイズラブ作品
今週のお題「ねこ」
結婚してからはペット不可の賃貸住まいなので飼えないのですが、実家では2匹飼っております。
どちらももう今年で17歳というシニア猫で、大病はしていないものの腎臓の調子があまり良くないので定期的に病院へ連れて行き、毎日薬を服用しています。
体重も減ってしまって、顔を見るとどこが年寄りなのかという愛らしさですが確実に年を取っているんだなーと抱き上げる度に感じます。
……と、まぁ我が家の猫について書くのもいいのですが、それはまたの機会に。
折角なのでBLにまつわる猫の話でもしましょう。
ここ数年、ネコ及びモフモフBLが流行っていますのでネコが登場する作品を幾つかピックアップしてみようと思います。
ネコと聞いて真っ先に思い出すのはコレです。
タイトルだけで、ねこそのものは出てこないんですけどね。
BLでは床で女役を務めるほうを主に受と呼んでいますが、ゲイ業界ではネコと呼ばれる事もあってかタイトルにネコがつくものは非常に多いです。(そういえば攻を匂わせるタイトルは少ないですね。BL初期は結構オオカミさんの××みたいなの見かけたけれど)
猫耳つけただけのプレイ的なものもありますし、作品によって呼び方は様々ですが人間が猫に変身してしまうものもあります。
私が読んだ中で印象的なのはこちらです。
ネコに変身・変化する作品
気分が落ち込むとネコに変身してしまう猫谷家のシリーズ1作目で、三男の亜以が主人公。
次男が主人公の「ねこねこダーリン」と長男が主人公の「ねこねこベイビー」もあります。
このシリーズは何が良いかというともうひたすら猫がかわいく描かれているところです。ねこ漫画誌の表紙を飾れるくらいのクオリティの猫絵!毛並みを描くのに結構な時間をかけているようで、本当に納得の可愛さ。
楢崎壮太さんは人物の絵柄はちょっと癖がありますが(特に横顔)どういう訳か動物はそれがないんですよね。
BLの部分も面白いんですが、読み終わると一番最初の感想は「猫かわいかったー」になること請け合いです。
猫的には三毛の亜以ちゃんが一番好きですが、お話しとしては「ねこねこダーリン」が一番好きです。ツンツンクールな紗以ちゃんがかわいい。
基本的にエロはほぼありませんのでどこで購入しても修正などの不都合はないと思います。
因みにねこ部分だけをフューチャーしたショート集の「月刊ねこねこ」という単行本も出ていまして、猫だけを楽しみたい方に超オススメです。子猫時代の3兄弟がめちゃくちゃかわいい。
続きましてこちら。
元々は「ネコ科彼氏のあやし方」のスピンオフで、更に言うと非BLの「猫科男子のしつけ方」の設定が元になっています。で、更にスピンオフで賀神・兄の「不機嫌彼氏のなだめ方」シリーズがあります。
世界の0.001%は猫科の動物に変身する猫科人間が存在するという設定で、猫だけじゃなく猫科の様々な動物に変身するのですが、こちらは基本的には変身は自分でコントロール出来るようですね。
耳や尻尾だけが生えた状態や、100%猫に変身した状態、どちらも楽しめます。いいとこ取りです。
「ネコ科彼氏のあやし方」に登場した時はオラオラっぽい攻キャラだった真悟ですが、本当に、かわいくなっちゃって……。
ネコにまつわる心霊・超常現象が起こる作品
人間に虐げられていた野良が獣医の克己に拾われてクロという名を貰い心を通わせるも、瀕死の大怪我をし、たまたま近くに同じく瀕死状態の人間がいたことで体が入れ替わる、というお話。
猫好きとしては黒猫のままで克己とラブラブな生活を送ってくれていても良かったのに、とちょっと思ってしまいますが猫も人も結果的には幸せになっているので文句はありません。
両親の離婚によって離れ離れになっていた飼い猫のばんちょうが、成仏する前に拓真の恋を見届けたいと霊体になって突然現れるお話。前後編と短いですが、ふてぶてしくふくふくしいばんちょうがなんとも言えずかわいいです。恋模様もかわいいほんわかする作品です。
ネコがきっかけで恋が始まる作品
巻末に収録の「かまってかわいいひと」前後編に猫が登場します。
意中の女子のため、苦手な猫を克服しようと猫カフェを訪れる攻と猫カフェ店員の受のお話。モフ感が足りず作画的には猫はいまいちですが、しぐさとかは結構ちゃんと描かれていると思います。猫と受を徐々にかわいいと思うようになる攻がいいです。
猫とは関係ありませんが表題作も好きです。
プライベートでは接点のなかった同僚の攻から「お前ん家の猫触らせろ」と家に押しかけてこられたお人よしで気ぃ使いの受がなんやかやと攻をもてなす内にいつしか恋に、というお話です。
ネコが全然攻に懐こうとせず、むしろ来客のたびに姿を消すところに猫飼いなら「あるある」と深く頷く事でしょう。
攻のジャイアンぶりがなかなか面白かった。
擬人化?ネコワールドな作品
きゃっつ~四畳半ぶらぶら節~ (H&C Comics ihr HertZシリーズ)
- 作者: 羽生山へび子
- 出版社/メーカー: 大洋図書
- 発売日: 2016/03/01
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る
設定は江戸時代という感じで、登場人物がまるっと全て猫です。二足歩行できちんと皆着物着て、喋ります。手は人間ぽい。
主人公ならぬ主猫公の二人は恋人同士ではなく、受と思われる猫がビッチでだらしないところは描くものが猫になってもへび子さんだなぁという感じがします。子猫も沢山出てきてかわいいです。ついでに子狸もかわいいです。
Web連載の作品で、現時点では単行本未収録の回がそちらで読めますので是非。
この他にも飼い猫野良猫が登場する作品は色々ありますが、猫がメインというと意外と少ないのかもしれません。
BL的には犬や狼、狐なんかの方がキャラクターとして動かしやすいのでしょうか?
個人的には表紙に猫が描かれていたら即買いなので、これからもモフモフブームは続くでしょうし期待したいです。
「So This is Christmas」ジョシュ・ラニヨン
ミステリだと聞いていたので「完結したら読もう」と、去年とうとう読んだ時には続きが気になりすぎて一週間でシリーズ5冊読み切った「アドリアン・イングリッシュ」シリーズの番外編です。
待ちきれずに英語版を買ったりもしたんですけど、もう全然分からなくて。数ページ読んで挫折して大人しく待っていました。
それぞれ電子で単話売りしている別カプの短編「雪の天使」(SS付)、「欠けた景色」の2本と、アドリアンとジェイクの「Christmas in London」~「So This is Christmas」という構成でした。
So This is Christmas アドリアン・イングリッシュ (モノクローム・ロマンス文庫)
- 作者: ジョシュ・ラニヨン
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2018/02/15
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
ジェイクとともにクリスマスをロンドンで過ごし、経営する書店に戻ったアドリアン。義理妹のナタリーと従業員のアンガスの関係に時差ボケの頭を悩ます彼の前に現れたのは、かつてアドリアンの所有する敷地で起きた殺人事件で知り合ったケヴィン。消えた恋人を探す彼はアドリアンに救いを求める、一方、ジェイクにも失踪人捜査の依頼がー!?
ようやく幸せになった二人が、幸せでい続けてくれさえすればそれで良し。……なんですが、アドリアンの事件巻き込まれ体質は相変わらずの様でただのラブラブな後日譚とはなりませんでした。
そこがラニヨン氏の持ち味ですからね。
事件が起こってもジェイクとアドリアンの関係をハラハラせずに読めるようになったところは凄く嬉しかったです。
ジェイクは相変わらず家族との関係に悩んでいるし、別れた妻の事や財産分与の事などとても現実的な問題もいくつもあって手放しにハッピーとは言えないながらも、クローゼットから出てきて堂々と恋人同士だと振る舞ってるだけでなんかもう満足。
アドリアンは肉体的にも精神的にも死にそうになりながらたどりついたんだもんなぁ……と遠い目になってしまいます。
あとまぁ今作の肝はリバですね。
リバNGな人は読まない方が良いかもしれません。
でも日本のBLと違って受になった途端あんあんあえぎまくったりはしませんので、抵抗感は少ないのではと思うのですが。
まぁそこは無理にすすめるようなものでもないですしね。リバNGの人は5巻で完結、番外編はなかったんだと思う方が精神衛生上いいでしょう。
ところで英語だと攻がTop、受がBottomというのは知っているんですがリバはやっぱりリバなんでしょうか?
ちょっと気になります。
「雛鳥は汐風にまどろむ」南月ゆう
私、子持ちBLがとても好きです。
表紙とタイトルで子持ちモノと分かるものはだいたいチェックしています。(2冊くらい買って合わないなと思った作家さんは除外したりもしますが)
最近は「子供ともふもふ出しておけば手堅い」と思われているのかやたらこの手の設定が多いですし、
「編集さんから子持ちモノを書いてくれと依頼された」
なんていう後書きも散見されます。
そういうやや乱発気味の状況なので、最近は「受(もしくは攻)が一人で子育てをしている」という一番肝の部分が力業というか必然性がないというか、無理やりな設定だなというのも多いんですよね。
今回の南月さんはそこら辺の設定がもうバッチリ!でした。
雛鳥は汐風にまどろむ【SS付き電子限定版】 (Charaコミックス)
- 作者: 南月ゆう
- 出版社/メーカー: 徳間書店(Chara)
- 発売日: 2018/02/16
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
事故で両親と姉を亡くし、小学生の甥・歩を引き取った勇一。海の見える街に引っ越して、二人きりで始める新生活――そこで出会ったのは、総菜屋を営む陵。同い年なのに自分の店を持ち、ご近所から慕われる人気者だ。すっかり常連となったある日、歩が喧嘩で家出してしまった!!「逃げずにちゃんと向き合え」陵は動揺する勇一を叱咤し、絆を取り戻させてくれる。ところがその瞳は、どこか寂し気で…!?
総菜屋店主×サラリーマン。
新しく暮らし始めた街でおいしい惣菜屋を見つける。
そこの店主が陵で、明るく人当りが良いが初手からぐいぐい接してきて少し戸惑う勇一。
同じ年な事もあり店主と常連よりは距離の近い関係を築いていくのかと勇一がぼんやり思っているところに陵の「バイ宣言」
……と、ここまでが一話です。
人物紹介と設定とラブのとっかかり、ここまでがきちんと収まっている連載第一話を読むといつも「上手だな。さすがプロだな」って思ってしまうんですけど、南月さんも超長編はなくとも連載ものが多い作家さんなのでやっぱり上手です。
甥っ子の歩の描かれ方も決して勇一と陵のオマケではなく、陵と歩の二人の間だけの絆もちゃんとあって読み応えがありました。
子供の頃に親の愛情をきちんともらえないまま育つと、一切の闇を抱えずまっすぐに大人になるのは難しいのかもな、という所で、こじらせている陵と健全な勇一はとても良い対比にもなっていますし、そのどちらもを見て育つ歩はどんな大人になるのかなーという未来への希望もあって。
子持ちBLと一口に言っても「ちみっこかわいい」だけで押し切る系統とは違い、「家族の話」だなぁという印象でした。
……と、ここで結ぶとラブはどこ行った?という話になると思うんですが、真面目に愛する気持ちを持ち続ける事を諦めていた陵が勇一の事は捨てられなかったんだな、というところがしんみり萌えます。
あと電子限定描き下ろしで陵がでっかい長男的な甘えを勇一にかましてるところがすごく良いです。
こちらもBookLive!で購入したので共通データです。
消しは一般的にホタルと呼ばれるヤツでした。結合部が光ってるかんじのヤツ。もしかしたら紙の本よりホタルが大きいとか違いはあるのかもしれませんが、何が描いてあるか解らないというような不都合はないと思います。