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「ラムスプリンガの情景」吾妻香夜

皆様こんにちは。数日ぶりの晴天は嬉しいですが一緒にやってくる熱気が憎いです。暑い……。ここ数日、気圧のせいか体調が悪く読書が全くはかどりません。

そんな中でも面白かった吾妻香夜さんの漫画をご紹介したいと思います。電子の配信を待っていました!

ラムスプリンガの情景 (ショコラコミックス)

ラムスプリンガの情景 (ショコラコミックス)

 

 

ラムスプリンガ――アーミッシュが、敬虔なキリスト教徒として彼らのコミュニティに残るか、家族を捨て外の世界で生きるかを決めるための、俗世を体験する期間。 ――80年代アメリカ。 ブロードウェイの夢破れ、田舎の街でウエイターと男娼をしているオズは、ある日、バーに来たラムスプリンガ期の青年・テオを“客"と間違え部屋に連れ込んでしまう。行くあても無いテオを放っておけず、つい面倒を見てしまうオズ。アーミッシュであることを馬鹿にされても怒ることも、疑うことも知らない純粋な彼に触れるうちにオズはニューヨークで擦れていた気持ちが絆され、彼を愛するようになるが…。

 

ラムスプリンガ(16歳から18歳までの約2年間、酒や女やたばこやドラッグなどを経験してきても良い期間)という単語を初めて聞きました。アーミッシュという言葉も音でしか知らなくて、キリスト教徒の一派とは、この漫画を読むまで知りませんでした。

テオは一応ドイツ出身という事になるんですかね。閉ざされた集落に住み、基本的には自足自給、当然結婚もアーミッシュの中で繰り返されているという……そういう中で生活していけば確かに安全かもしれませんが、近親婚の末、子供が生まれにくくなる未来しか浮かばないなぁ。ラムスプリンガの期間に外に出られても、外で結婚相手を見つけて連れ帰れる訳でもなさそうだし。

と、まぁテオはそのラムスプリンガ期間にオズに出会い生き方の選択をするというお話です。無宗教の日本人にはちょっとピンとこないところもありますが、テオの純朴さが可愛くて、一から育ててみたい思いに駆られました。オズは過保護過ぎなくてすごい。構い倒したくなりそう(そしてダニーのようにやりかたを間違えそう)。

このアーミッシュのテオが生き方の選択をするというのが、単純に”ゲイとして恋人を取るか家族を取るか”以上の大きいテーマで、すごく読み応えのある漫画でした。ただ、手に取るきっかけが少し難しい気がするのが残念です。

まず「ラムスプリンガとは何ぞや?」で、ラムスプリンガを調べると今度は「アーミッシュ??」となりますからね。果たして本屋でここまで調べてよし買おう!というところまでいくかな……難しいな。

でも読めば満足度は高いと思います!

あと……そうですね、年下攻です。あと受はちょっとビッチですね。絵柄は外国人を描いているのが伝わる、体の厚みのある感じです。ごつごつしているというよりはフワっとしてます。

前作(で良いのかな)の「モブ山A治とモブ谷C郎の華麗なる日常への挑戦」は完全コメディだったので色々描ける方なのかもしれませんね。今後が楽しみな作家さんです。