shipper備忘録。プラスα

BL本や映画のレビューなど。モバイル機器や競馬も好きなのでそういう話題もあるかと思います。

「オタクな美坊主とイクメンアクター」淡路水

5月になっても気温差が激しいですね。

こんな天候のときはゴールデンウイークといえど家にこもって読書に励みたいものです。

さて今日は、子持ちBL好きとしてはぜひ紹介しておきたい、淡路水さんの「オタクな美坊主とイクメンアクター」です。 

読んだのは電子版で、紙の本は去年の12月発売だったみたいですが、電子では3月。ラルーナ文庫は後発のレーベルなので勝手に(電子化が)早いイメージがありましたが意外とあいていますね。でもちゃんと挿絵付なのでそこはありがたいです。

オタクな美坊主とイクメンアクター (ラルーナ文庫)

オタクな美坊主とイクメンアクター (ラルーナ文庫)

 

 

宝龍寺の僧侶、慈円は寺が経営する幼稚園の副園長。美形なのにディープな特撮オタクで人見知りのこじらせ童貞。
そんな慈円の前に、彼が愛してやまないシャインレンジャーのスーツアクター、朝日アツシが…。
転園してきたばかりの五歳児、真紘の父、幸人――しっかり者の真紘に叱られながら毎朝、ヨレヨレの姿で園に現れるあの怪しげな男が!?
はからずも幸人の正体を知った慈円は、ワケアリ親子と急速に親密になっていくが…。

 

 人見知りで童貞の美坊主、どこかで聞いた設定ですね。山本小鉄子さんの「お参りですよ」が好きな方には読んでみてほしいです。

それにプラスして特撮オタクという設定が効いています。5歳児とマジトーンで語り合ってしまうガチの特撮好き。言い寄られるものの、美形とオタクのギャップで勝手にガッカリされて一方的に別れを告げられてしまうという苦労がこじらせに繋がっているようでした。

加えて坊主という職業、幼稚園副園長というのも特撮オタとは相性がいいとは言えません。世の保護者はオタクに理解のない、平たく言えばオタクは犯罪者と同義だと思っている方も少なくないからです。全くもって誤解というか、報道などのイメージでしかありませんが。

そんな訳で隠れオタな慈円、新しく入園した男の子の父親が憧れのスーツアクター・朝日アツシだという事を一発で気づく出来事がありました。

ヒップラインがよくわかるぴっちりした革のパンツを穿いていた事です。

そう。尻のフォルムで気づいたのです。

(私もそれなりに追っかけ的な人生を送ってきましたが、顔出しもしていない好きなタレント(なりアイドル)の尻で本人と気づくかなぁ……。)

イラストも含めてコミカルで声を上げて笑ってしまいました。

この時点では特に慈円がゲイだとかの自覚はありませんが、尻への執着だけでもうフラグ立ちまくりですよね。現実世界ではタチもネコも互いに尻に魅力を感じているらしいですが、BLでは尻に興味を持つのはもっぱら攻ですから、ちょっと一瞬

「あれ?慈円って攻?」

と思いましたが、慈円は受です。

 

それからは激しい恋に落ちたというわけではなく、家族ぐるみで徐々に距離が近づいていくのですが、住職で幼稚園副園長という設定が生きていました。子持ちものとして、この距離の縮まり方というのは大事です。大体が特に大きな説明はなく「何故だか懐かれて」で終わってしまっていますから。

ただ惜しむらくは、幼稚園は”基本的に一日4時間”と預けられる時間が決まっている文科省管轄下の教育施設という前提があるので、幸人が仕事をしているシングルファーザーという事であれば、保育園という設定の方が自然だったかなというところですね。

しかしなんとも真紘くんが可愛くてですね。お父さんに「です・ます」調で説教するところがもう本当に可愛い。ちょっと将来の攻候補な感じもありますが、願わくばこのまま可愛くいてほしいなぁというのが個人的な希望です。

 

淡路水さんは初めて読みましたが、コミカルとシリアスがいい塩梅で、文章も平易で読みやすかったので他のご本も読みたいなと思いました。どうしても小説は作家買いになりがちなので広く読んでいきたいですね。