「リカー&シガレット」座裏屋蘭丸
ダービーも終わり(無事に外れ)もう6月ですね、皆様いかがお過ごしでしょうか。今年はグランプリボスやジャスタウェイ、トーセンラーなどの新種牡馬の産駒がデビューするみたいで、今から新馬戦が楽しみです。
さて、今日は外国人を描くのがとっても上手な座裏屋さんの新刊「リカー&シガレット」を紹介したいと思います。
リカー&シガレット (バーズコミックス リンクスコレクション)
- 作者: 座裏屋蘭丸
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2018/05/24
- メディア: コミック
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お向かい同士で店を構える酒屋のテオとタバコ屋のカミロ。二人は幼馴染みだが、カミロが自分に特別な想いを寄せていることをテオは知っていた。テオもカミロを意識していたが、それが恋愛感情からくるものなのかどうかわからずにいた。そんな時、カミロに「お試しでいいから付き合ってみない?」と提案され、迷いながらもテオは受け入れる。その後、情熱的なキスをされたり優しく愛撫されたり、今までと違う雄の顔を見せるカミロにテオは…?
タイトルはテオ(リカー=酒屋店主)とカミロ(シガレット=煙草屋店主)のことで、「&」なところがなんとも憎いです。
よくある幼馴染みモノでも、舞台を異国にするだけでこんなにも雰囲気が違うというのは味わい深いですねぇー。
カミロはテオの事が好きで、でも見込みがないだろうとひっそりと片思いをしているのですが、でもガッチガチに自分の思いを隠している訳でもなくて、テオが引くほどあけっぴろげでもない、というところが日本人にはない大らかな心構えだなと感じました。舞台が日本で現代というセオリー通りのBLだと、片思いしている方は思いつめてある日突然失踪したり、はたまた強引に身体を奪ったりしますからね。日本人の生真面目さが悪い方に出ている感じとでもいいましょうか。キャラクターの見た目だけじゃなくて考え方とか行動原理もちゃんと異国だなと感じさせてくれるんですよね。
この作品はどこの国とは明記されていませんが、高校という制度があるというのと、登場人物の名前、街並み、なによりポスターなどから見るとスペインがモデルになっているのかなーと思います。この作品に限った事ではないですが、名前が出てこなくてもちゃんとヨーロッパの人間に見える画力もいつもの事ながら流石で、物語に没頭出来て素晴らしい。(ずっと外国を舞台にしたお話を描く作家さんでいてほしいなと密かに思っています。)
また「&」が「×」に変わってからのカミロのダダ洩れぐあいが面白いのと同時に、日本人だとちょっとサムいような愛の言葉も板についていて格好良かったです。
きっと将来は渋い老人カップルになるんだろうなぁ……。
見た過ぎる。
何にも知らない旅行者に「そんなに格好いいのに結婚してないの?」みたいなの聞かれていて欲しいですね。いいタイミングで向かいからテオが出てきたりして……! 良いですね。なんてピースフルな世界でしょうか。
それから、友達のマリノのスピンオフがあったら歓迎します。ナチュラルボールネコって宣言しちゃうキャラおいしいです。