shipper備忘録。プラスα

BL本や映画のレビューなど。モバイル機器や競馬も好きなのでそういう話題もあるかと思います。

「善次くんお借りします」玉川しぇんな

 皆様こんばんは、降ったりやんだりですが如何お過ごしでしょうか? まだ5月なのにこの感じ、すでに梅雨のようであり、下手するとから梅雨で夏がながーーい事になるのではと今から戦々恐々としております。

さて今日は少し前の刊行作ながら、只今電子書籍でセール価格になっているこちらをご紹介したいと思います。

善次くんお借りします【電子限定描き下ろし付き】 (花丸コミックス)
 

 

両親を亡くし、野球好きの祖父と二人暮らしの高校生・善次は、顔を見ただけでその人の不調部位が判るという特技の持ち主。野球部のエースだった父のようになれず祖父の期待にこたえることができないこと、貧弱で女っぽいことにコンプレックスを抱いていた。そんな善次は、同じクラスの前の席の野球部のヒーローで、クラスで少し浮いている花岡の授業中の居眠り姿を見守るのが楽しみであり密かな日課だった。ある日、ひょんなことから花岡と接点が出来て!? 憧れと恋が複雑に絡み合う、甘酸っぱい青春ストーリー!

 

 久しぶりに関西弁の学園BL読みました。

いいですね、関西弁。と言うか方言BL。関東育ちの私から見ても、関東弁ってちょっとスカしてるなーもっと感情のままに迸った気持ちを伝えたい!って思うときがあります。

主人公の善次は小柄で細身で運動があまり得意ではなく、そんな自分にコンプレックスを抱いています。

早くに両親を亡くし祖父との二人暮らしですが、祖父は根っからの野球好き。とりわけ高校野球が好きで、高校時代の息子の活躍を今も誇りに思い、孫にも同じように野球に打ち込んでほしかった(きっとそこからプロになってスター選手になる夢もぼんやり見ていたのだろうなという感じ)。

その期待に答えられないかわりに、たまたま向いていた事もあって、祖父のように整体の道へ進むことがせめてもの孝行だ、と自分に言い聞かせている。だけど、同じクラスには、まさに祖父が願っていたような、地元紙も賑わす存在の花岡がいて、憧れと嫉妬が入り混じってぐるぐるしてしまうんですね。

かたや花岡も野球がなんの問題もなく順調というわけでもなく、授業中は睡眠タイムでクラスメイトにはなんとなく怖がられていて、クラスで話しかけるのは善次だけ、という状態。

あまり接点を持ちたくない野球との唯一の接点が善次にとっては花岡との挨拶で、自分からは歩み寄ろうとしない花岡のクラスとの唯一の接点が善次、という近いのか遠いのか絶妙な距離の二人がちょっとしたきっかけで近づいていくのが、すごく青春してて良いです。

二人とも思春期ならではの潔癖さで野球から目を背けたりしてて、そこを乗り越えた先にある恋。好きだけど嫌い、みたいな感情でぐちゃぐちゃになってしまうのは本当に、まさに青春でした。

あとスポーツ男子と非スポーツ男子の体格差も良かったです。

 

それとこのお話の中で印象的だったのは

「将来メジャーに行けば男同士なんて問題ない」

という花岡の考え方ですね。なんというか現代っ子だなぁ……。

確かにアメリカでは同性婚可能な州はいっぱいあるけれど、同じロッカーでわらわらと着替えたりシャワー浴びたりするチームスポーツでは思うほど簡単にはいかないと思うんですけどね。こういう野球選手とかサッカー選手とかのBL読むといつも気になってしまいますけど、そこはフィクションなので幸せな未来を想像しておくことにしましょう。

 

明日14日まで複数の電子書籍サイトでセール中なので、気になった方はぜひ!