BL備忘録。プラスα

BL本のレビューなど。モバイル機器や競馬も好きなのでそういう話題もあるかと思います。

「君の名前で僕を呼んで」を観てきました。(原作本も読んだよ)

ゴールデンウイーク、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私は前半につかのま帰省し、ついでにライブを観て映画を観てきました。

それがこちらです。

hlo.tohotheater.jp

たまたまライブを観に新宿へ行っており、駅構内のポスターに惹かれ翌日さっそく鑑賞へ。

普段あまり洋画は見ないうえに、前日に急遽見に行くことを決めたので原作を読むこともできず、前情報はほぼなし。

とりあえずキービジュアルから同性愛ものであるという事が分かっていた程度でした。

珍しくネタバレが含まれるので折りたたみます。

 

舞台は35年ほど前のイタリア。夏になると両親とともに毎年訪れるヴィラで、父親の研究の手伝いにやってきた大学院生のオリヴァーとひと夏の恋に落ちる17歳の少年エリオ

 

というのが物語の筋なんですが、前情報なしだったので研究の手伝いにやってきているのは30過ぎの助教授ぐらいのポジションだと思っていたら、24歳の大学院生という事でびっくり。

確かに、スクリーンに登場した時から「文句のつけどころのない美丈夫だ!」とは思っていたんですけど、でもどう見ても20代前半には見えなくて。アーミー・ハマーは凄くはまっていたとは思いますが、私の日本人的感覚では、正直、オリヴァーとエリオは一回りちょっと離れているんだと思って見ていました。

またエリオ役のティモシー・シャラメが日本人から見ても幼い雰囲気だから余計なんですよね。あの幼児体型……尊いです。

映像が美しく、古いヴィラ、あるがままの自然あふれる庭、無造作に果実を取って食べる様子、小さなプール。

別荘で避暑生活など送ったことのない典型的庶民な私にはとても幻想的でした。

彼らはイタリアで出会ったけれど、オリヴァーはアメリカから来たお客様。イタリア語はあまり話せない。エリオの家に出入りするガールフレンドはフランス語を話し、翻訳家の母はドイツ語の本をその場で翻訳して聞かせてくれたり、と色々な言語が入り乱れているところなんかは二人の恋がひと夏で終わってしまうのではないか、という予感を与えます。30年以上前だと同性のパートナーシップ条約なんかもまだまだ整備されていないし、少し前までは犯罪だった、という国や地域も多かったでしょうから、仕方ないんですけどね。

まぁ、BLジャンル以外で、こういったお話が悲恋で終わらないはずがないんですよ。時代的なことを考えても、二人が一つベッドに入る事になるまでのためらいなどを考えてみても、初恋の彼氏と末永く幸せに暮らしました。めでたし、めでたし。とはならないのです。

そして、二人は別に同性愛者かというと違うんですよね。女性とも付き合っていたり、キス以上の親密なシーンも登場します。

スクリーンの中のエリオは、同性に惹かれる自分をうすうす自覚しつつ、オリヴァーの登場でついに屈服したように見られました。パンツ(いや水着か)に頭を突っ込むシーンなんかはそれが顕著です。

後半の怒涛のような感情の発露は、二人ともが核心に触れないようにしてたのに、それとなく周りにばれて観念したようでも、欲望に負けたようでもありました。やっぱり触れられる距離にいたら我慢出来なかったのでしょうね。

JUNEの時代を知る私にとっては懐かしくすらある展開です。

しかし日本で生まれ主な作者が日本人女性というJUNEとは一線をかくすところが勿論あって、どうもオリヴァーもエリオもエリオの父も、作者の投影であるのではないか、というところがそこここに表れているのです。

この町山智浩さんという方がラジオで語っていたお話がとても興味深いので、書き起こしされている方の記事を読んでほしいです。

miyearnzzlabo.com

原作はなかなかのボリュームで、基本の筋は忠実に、だけどエンディングは映画オリジナルです。(このエンディングのシャラメの演技が胸に迫るものがあるので是非ともエンディングで帰り支度などせず、じっくりとスクリーンを見てほしい)

原作を読むと余計にこの作者の投影説がリアルに感じられるんですよね。実際にエリオのような夏のヴァケーションを過ごしていたり、はたまたエリオ父のように大学教授として教鞭をとっていたり。そう考えるとエンドマークのつけ方にも納得、なんですが。

やっぱり21世紀のBL読者である私からみると文学的すぎるなぁと思ってしまいます。いやまぁ文学なんですけど。

映画自体は「ザ・初恋」という印象で、自分のままならない気持ちに振り回された経験がある人にはとても響くと思います。エリオは可愛いしオリヴァーはカッコいいし、眼福だけを求めても決して損はしないでしょう。設定が夏なのでエリオはほぼ上半身裸、オリヴァーもたびたび水着姿になっているところも眼福。二人の身長差にもニヤニヤしてしまいますし、エリオが毛深くないのも「少年」感を際立たせていて良いですし。

ただ「めでたし、めでたし」に慣れてしまった私にはなかなか作品が消化できなくて「面白かった」のか「つまらなかった」のか正直いまもよく解かりません。原作を読み終えてみてもまだよく解かりません。

しかし、こうやって考えるのが文学の醍醐味かなとは思うので、これからも時々振り返って、エリオの事、オリヴァーの事、考えてみたいです。勢い余ってサントラも注文してしまった事ですし。(しかし届くのは7月)

原作本の出版はお馴染みオークラ出版です。今回すぐに原作が読みたくて私は電子で購入しましたが、紙の本では寿たらこさんカバー版もありますので気になる方は是非。たらこさん描き下ろしの4ページのリーフレットもついているようです。

 

あと雲田はるこさんがイラストエッセイを描いていらっしゃるのでこちらも必見です。

natalie.mu

 

それから、BL読者の方にお伝えする事があるとすれば二人はリバだという事です。