「MR-ミスター-」由良環
皐月賞も終わりまして戸崎が初クラシックを獲りましたね。1番人気が勝つのはまれだというデータもあったので馬券としてはサンリヴァルからワイドを流していたら無事ジェネラーレウーノとのワイドをとりましたが、パンパンの良馬場で見てみたかったです。
また間が開いてしまいましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
今日は電子限定のこちらをご紹介したいと思います。
kindleと楽天にはありませんが各電子書籍で取り扱い中の「MR」単話売りの全3巻です。50ページ弱が3本で、”伝説のマスター”と呼ばれるゲイモテを極めたようなキャラクターのミスターが主人公の、SMがテーマのお話です。
男子上等!レーベルから出ていますが絵柄の感じから見ると最近描かれたものではなく、恐らく由良さんがJUNEで描かれていた頃、20年以上前の作品ではないかなと思われます。(初出を探したのですが見つかりませんでした)
舞台はアメリカのハードゲイ社会なのでBLとはかけ離れているように見えますが、2話目のダリルのお話なんかはもっと膨らませて今どきの絵柄であれば現在のボーイズラブ読者にも受けそうな切なくも美しいお話でした。
経験がないのでよく解かりませんが、恋人を無くすのとはまた違った悲哀があるのだろうなと想像するとその後のミスターの心持ちは如何に……。それが1話でのボトム達への扱いに繋がるのでしょうね。
拘束、局部へのピアス、フィスト、リバと色々あってそれでこの絵柄なので万人受けするとは思っていませんが、機会があれば読んでほしい作品です。
由良さんは小野双葉という別ペンネームもお持ちで、そちらでのホラー漫画の方が有名かと思いますが、私が最初に見かけたのはJUNEに載っていた短編の「ブラザー」だったように記憶しています。しかし25年くらい前の話なのでいかんせん記憶があいまいです。JUNEにはビデオレポート(主に海外のゲイもの)も定期的に掲載されていたのでそっちだったかもしれませんが、とにかくこちらのジャンルではほとんど日本人を題材にされていません。(当時としては珍しくない。むしろ明るく楽しくかわいい学園モノの方が異端だった)
25年ほど前の日本ではまだまだゲイはホモだおかまだと呼ばれイロモノ、というよりゲテモノ扱いで人権なんてあったもんじゃないという空気が濃厚だったので「MR」のようなテイストの作品を描かれていたのかなと思うのですが(差別的な笑いを取りに行かないゲイコミックの方向というか)、当初はBL専門の作家がいなかったのでこういうシリアス路線を描くレディコミ系の作家さんは割と多かった記憶があります。
「麗人」なんかは創刊当時レディコミ作家が半分くらいだったんじゃないかな。東城麻美さんや魔木子さんもその流れですね。
でも私が知る限り由良環さんほど濃い絵柄の濃いSMゲイものを描かれていた方はいないので、由良さんの作品が読めればもう読めないものはないんじゃないでしょうか。
上級者向けです。